映画 『 變臉(へんめん) この櫂に手をそえて 』
1996 年の中国映画。
古い映画だけどすこしも色あせていない。
河を流れていく舟がとても印象的で、その舟のなかで生活をする老人は、歌劇 〝變臉〟(へんめん)の名人。
彼は、後継者として買った男の子を溺愛するのだけれど、
小さなその子を愛しんで慈しんで接する姿が、ほんとうに幸せそうで泣けた。
小さな手で、背中を掻いてもらうシーンがあって、
孫の手がどんなに彼の心をあたためたか、伝わってくる。
しかし、男の子と思っていたその子は、実は女の子だった。
老人は心根の優しい人だけど、
自分の芸の技を絶やしたくない、( 女子には継承しない )というところで、深い落胆があって、冷たく態度を一変させた。
もう一度彼に愛されたいと、いじらしいほど頑張る女の子の姿に胸を打たれる。
昔の中国はこんな風だったのかな。
悠々と時がながれている。
残された時間がわずかな老人と、これから育っていく幼い子どもの、両者に重なる時間の密度はすごく濃い。
縁があって、愛し合った人とも、いつか別れなくてはいけない。
すれ違いでも、死別でも。
それがまっすぐに伝わってくるから、この映画をみると泣きたくなるのかなと思った。
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