映画 『 ナショナルギャラリー 英国の至宝 』
「 われより哲学を学ぶべきにあらず、哲学することを学べ 」と言ったのは、イマニエル・カント
私たちは欲求を捨てきれない、とくに知識欲は際限がない。
幼児が転んでも転んでも立ち上がり、
触れるものを手当たり次第に舐めては確かめ、
つま先立ちで人だかりの向こうを覗こうとする気持ちと同じ。
遠くを見つめる目というのは、動物のなかでも人間特有の視点らしいのだけれど、
高く空を飛び、深く海に潜り、生き物を解剖し、宇宙の果てまでも覗こうとする、
これも人間の知りたい欲求の成せるわざで、
英国のナショナルギャラリーに勤める人々は、
その目を、一枚一枚の絵に向けている。
この絵が、どの時代の、どういう部屋に飾られていたのか、窓からの明かりが、一日を通してどのように絵を照らしていたのか、
絵を所有した人物、描かれた人物、宗教、画家の哲学と、想い、どういう経緯でこの美術館にたどり着いたのか、
もうね、すごいの一言。圧倒される。
修復師の仕事を見れたのはおもしろかった。
修復師のラリーは、絵について熱っぽくずっと喋っていた。
ちょっと頑固な館長ニックがいい味を出していて、
集客や利益よりも、品格、信念、芸術への愛とリスペクとがあって好きだった。
素晴らしい絵をより多くの人に見てもらいたいという気持ちを、関わる人全てが持っている、
どのように今後ナショナルギャラリーを運営していくのか、討論してぶつかる。
妥協点を探る。そこもひとつの見所。
学芸員の方のレベルが素晴らしいのだけど、
とくに写真のこの女性、この方の絵の捉え方、伝え方、語り方がすごく胸に響いた。
素晴らしい絵がたくさん映し出される。
いつか足を運んで絵を観にいきたいけれど、とりあえず、繰り返し見るためにDVDを買った。
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