映画 『 ザ・トライブ 』
この映画は、
リモコンの消音機能が有り難かった。
全体としては退屈で、
こちらの常識が通用しない異国に行ったときに感じるような、
ひんやりとした薄いガラス越しの距離感。
字幕なし、台詞無し、手話のみ。
環境音の使い方が秀逸で、もし私が聾者だったとして、
その場にいたら気配で分かるような、肌に響くような音だけが聞こえた。
例えば、乾いた落ち葉がカサコソと擦れる、
金属器具のカチャカチャという無機質な響き、
粗暴な足音、怒りにまかせた衝撃音、、
空気を振動させる響きにすこし色がついているような音。
その使い方がとても上手で、
だからこそ本当に音が恐い。
後半の中絶と殺害シーンは、正直ほとんど目を伏せていて、
気配でストーリーを追っていたのだけど、
解釈が分かれると思う。
気になって色々な人のレビューを読んでみたけど、よく分からなかった。
彼は彼女を救いたかったのか、
逃げないようにパスポートを噛みちぎったのか。
滑らかな手の動きに見とれた。
以前〝 五感を磨く〟という、地水火風空の五大の印を教えていただいて、
気に入って続けているのだけれどこんなに綺麗に指はまだ動かない。
演じたのはすべて聾者の方なのだそう。
彼らの手は、習慣のそれだ。
耳は敏感に音をすくい上げるので、言葉は、否応なしに意図しない情報も含んでしまう。
手は、音で交わす言葉ほど、余計なものを含む隙がないのだと思った。
聴覚と視覚の違いについて興味をもった。
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ハリネズミのいる生活
ハリネズミの爪切り。
以前は、電車を乗り継いで、
専門の 動物病院 で切ってもらっていたんだけど、
移動中の揺れや、音や人の匂いにすごく敏感なので、
爪切りはお家ですることにした。
お手て小さいし、すぐ丸まるので、
落ち着くの待つ、爪切る、待つ、爪切る、、と、ほんと大変。
終わるとシャーと走り去る。
爪伸びたら走りづらいしね。
結構 走るのが速い。
足のむちっと感。
ご飯とお水は、ゲージの中に置いているので、
頻繁に出たり入ったり。
ときどき足台を置いてみるけれど、
わざわざ足台のないところから出ようとして、
足台を避けてよじ登る。
今日もワイルド。
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ハリネズミのいる生活
トゲのある女の子。
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映画 『 エディット・ピアフ 愛の讃歌 』
映画「エディット・ピアフ 愛の讃歌」日本版劇場予告 - YouTube
主演のマリオン・コティヤールは、
儚く美しい役どころが多くてすごく好きな女優さんなのだけど、
最後キャストを見るまで気が付かなくて、びっくりした。見事。
インタビューを受ける海辺のシーンは涙がでる。
愛しなさい。
愛しなさい。
愛しなさい。
エディットピアフの中に流れていたもの。
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映画 『 パリよ、永遠に 』
ナチス・ドイツ軍占領下に置かれたフランス。
ヒトラーに送り込まれたドイツ軍総司令官は、パリを徹底的に爆破する任務を受ける。
タイムリミットは夜明け。
計画を食い止めようとするスウェーデン総領事との、
見事な討論。心理戦の室内劇。
交渉術なのだが、
対等な立場に立つもの同士だからこそ、言えることがあるし、的を得た言葉を使える。
軍の総司令官であっても、計画が破綻すれば妻や子の命はヒトラーに握りつぶされる。
戦争に台風の目はなく、
どんな人であれ、最終的には駒になるというのがよく分かる。
結末は分かっていても、
最後まで目が離せない良質な映画。
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小説 『 ふたりの老女 』
アラスカ・インディアンに語り継がれる 物語。
北の地に住むアラスカ先住民たちは、
ある年、
極寒の冬を迎え、餓死寸前の全滅の危機にさらされた。
部族のリーダーは、
ふたりの老女を置き去りにすることを決める。
生き残るため、ふたりの必死の旅がはじまった . . .
部族のなかで、伝統的に口から口へと語り継がれてきた 「 物語 」が、
本になり、
こうして読めたことを幸運に思う。
世代から世代へ繋ぐ、知恵のGIFT。
老いて、弱者の特権に甘んじて生きていたふたりの老女は、
棄てられてから気づく。
弱者にみられようと無力なふりをずっとしてきた、
なので、若い彼らは、
わたしたちを役に立たないものだと信じるようになったのだ、と。
ふたりの老女が極限で気づいたこと、
奮起したふたりの生き様が、
率直な語り口で胸を打つ。
これは、現代にも一脈相通じるおはなし。
ひとりの人間の内には、
かき集めれば、信じられないほどの勇気や知恵が湧いている。
私は虐げられている、
傷つけられた、自分は弱いのだ. . . と、
弱者の立場に自分を置いて、自己を主張するようになったら、
勇気は必要がなくなり、知恵は影をひそめてしまう。
人間がこの世で果たすべきことをする能力には限界などないこと。
年をとったから、女性だから . . .
などということはないこと。
ほんとにそうだ。
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