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映画 『 小さな中国のお針子 』 

 

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The Little Chinese Seamstress Official Film Trailer ...

 

小さな中国のお針子 公式サイト

 

1971年、毛沢東文化大革命の嵐が吹き荒れる中国。

優秀な医師を親に持つ17歳のマーと18歳のルオ、二人の知識青年は、

再教育のため歩いて四日もかかる山奥の村へと送られた。

 

そこで彼らを待っていたのは過酷な労働。

この時代、文字が読める、本を持っているというそれだけで、ひどい弾圧を受けた。

あらゆるものが破壊され、書物は燃やされ、

特に武術家への弾圧は、筆舌に尽くしがたい凄まじいものだったと、

いつか話しを聞いたことがある。

私は太極拳をしているが、死ぬほどの覚悟で逃げて伝えられた技の、歴史と奥深さと洗練さは、知れば知るほど深くはまる。

それは中国の国の歴史や人々を知るようで本当にとてもおもしろい。

一般的に広まっている24式は、文革後に政府によって作られたものなので、太極拳の歴史ひとつを遡っても、色々な見方を知ることができる。

 

この映画は、

青年マーとルオが、村で出会った文盲の美しいお針子の娘と恋に落ち、

盗んだ鞄に隠されていた宝物のような本の数々、

フロベールユーゴートルストイディケンズ  .  .  .   そしてバルザックを、読んで聞かせるというお話。

彼らは、ヴァイオリンを弾き、笑い、映画を知り、若さゆえに傷ついて、

二人の青年それぞれに違った方法でお針子を愛した。

彼女の人生を変えたのは愛で、愛のなかで気づいた知識だった。

 

とても美しい映画。

まだ、文化大革命の真実は映画には出来ないと思う。

フランスと中国人監督の合作なので、これはフィルターのかかったファンタジーなのかもしれないと思ったけれど、

監督自身、医者の家に生まれ文革の時代に再教育を受けた方なので、祖国の風景に自伝的なものを含めたのかもしれない。

 

主人公マーが、内に秘めた想いが溢れて泣きじゃくるシーンがあるのだが、

もしかしたら監督の流した涙だろうかと思った。

一番たまらないシーンで、

青年が学ぶことを弾圧され、文字に飢え、先の見えない時代に生きていた、

その重さが涙から伝わってきて泣けた。

 

 

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