映画 『 らくだの涙 』
これは、
ミュンヘン映像大学に通う モンゴル出身とイタリア出身の二人の学生が、
卒業制作として撮ったドキュメンタリー作品。
カメラを覗く、
彼らの、若い真っ直ぐな眼。
その眼を通して、
モンゴルのゴビ砂漠に生きる、
遊牧民一家の日常を垣間見ることができる。
春の夜、
次々とお産がはじまるラクダたち。
最後に出産したラクダは初産で、
2日にわたる難産の末ようやく白い子ラクダを産むが、母ラクダはお乳をあげることを拒否している。
愛情を示さず、子ラクダは衰弱していくばかり。
この地には古くから伝わる音楽療法があって、
遠い町まで兄弟が、演奏してくれる先生を呼びに行くことになった。
カメラは静かに、彼らの風習や日常や、風景や砂嵐を、見守る。
それはきっと、
おじいちゃんやおばあちゃんや、お父さんやお母さんが子どもたちを見守り、
共に生きるラクダを見守り、
生活のなかに祈りが生きていて、祈ることと見守ることがとても近く、
なので、自然とこう、寄り添うような撮り方になったのだろうなと思った。
色んなシーンがとてもとても良くて、
見守りながら信じることについて、
なんだかじっくり考えた。
馬頭琴の音と、歌声と、草原に吹く風が、
ふうわりと心に清々しい風を起こしてくれた、すごく素敵な映画だった。
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